
2026年8月31日
2026年6月、私は日本・福岡で開催された第28回国際プラネタリウム協会大会(IPS 2026 FUKUOKA) に参加しました。
私にとって、これは世界中のプラネタリウム関係者が集まる、単なる専門家会議ではありませんでした。ウクライナやハルキウについて、そして私自身が日本へ来ることになった経緯について国際的な参加者に伝え、戦争に見舞われた街にあるプラネタリウムが、それでも活動を続けることができるということを伝える機会でした。
今回の大会には、とても象徴的なテーマが掲げられていました。
「One Earth, One Sky(一つの地球、一つの空)」
福岡の一つの空の下に、世界各国からプラネタリウムに携わる人たちが集まりました。話す言葉も、働く環境も、これまでの経験も、それぞれ異なります。
そして、まさにそこにこそ、私にとってのIPSの大きな価値がありました。
日本での私の物語を、世界へ
私のメインプレゼンテーションでは、全面的な信仰が始まった後、私が日本に避難することになった経緯についてお話ししました。
どのように日本に来ることになったのか。来日後、どのような課題に直面したのか。新しい国を理解し、仕事を見つけ、プラネタリウム解説員としての仕事を再び続けるために、どのような努力をしてきたのか。
そして、この物語の中で最も大きな意味を持っていたのは、「人」についての話でした。
日本の同僚、知人、友人たちは、私の人生のさまざまな段階で力を貸してくれました。その支えがあったからこそ、私は少しずつ日本での生活に慣れ、ただ生活を立て直すだけではなく、自分の専門職にも戻ることができました。
来日から数年が経った今、私は東京の大規模なプラネタリウムの一つであるギャラクシティで働き、日本各地のプラネタリウムでも番組を担当しています。
だからこそ、IPSでの私の発表は、ある意味で、一つの職業が、強制的な移住を経験した人に再び自分自身の足場を取り戻す力を与えてくれた、という物語でもありました。
ドームの下で、3つの番組
メインプレゼンテーションに加えて、大会期間中にはモバイルプラネタリウムで3つの番組を担当しました。
これは私にとって、とても興味深い経験でした。
モバイルプラネタリウムは、常設型のプラネタリウムとは大きく異なります。ほとんどどこにでも小さな宇宙をつくることができる一方で、その環境に合わせて番組を構成し、観客とコミュニケーションを取るためには、また違ったアプローチが必要になります。
しかし、IPSで経験した中でも 特に印象的だったのは、さらに別の形式のプログラムでした。
私は、世界各国から集まった7人のプラネタリウム解説員の一人として、7人が順番に、それぞれ自分の言語で星空を生解説するプログラムに参加しました。
7人、7つの言語、そして一つの空。
その瞬間、星空の言葉には翻訳が必要ないのだということを、改めて強く感じました。
星は誰にとっても同じです。
けれど、それぞれの文化には、それぞれの星の語り方があります。
バーチャルハルキウプラネタリウム
IPSでは、「バーチャルハルキウプラネタリウム」のプロジェクトも紹介しました。
https://www.stars4peace.com/ja/virtualkharkivplanetarium
このプロジェクトは、ウクライナのハルキウプラネタリウムについて伝え、ウクライナのプラネタリウムという物理的な空間が通常の形で活動することが難しい状況にあっても、その活動を何らかの形で続けていきたいという思いから生まれました。
バーチャルという形を活用することで、プラネタリウムに関する情報や資料を共有し、星やハルキウ、そしてウクライナの文化について伝えながら、国際的なプラネタリウムコミュニティの一員であり続けることができます。
忘れることのできない支え
IPSに向けた準備は、決して簡単なものではありませんでした。
時間はいつも足りないのに、やらなければならないことは増えていきました。
けれど、この物語の中で何度も繰り返し現れたものがあります。
それは、人の支えでした。
日本の同僚たちは、準備の段階から私を支えてくれました。それは、私が日本で生活し、仕事を続けてきたこれまでの道のりでも同じでした。
アドバイスをくれたり、資料を確認してくれたり、準備や運営を手伝ってくれたり。そして、時にはただ 一言、励ましの言葉をかけてくれたり。
そしてIPSでは、日本の同僚だけではなく、海外から参加した仲間たちからの支えも感じました。
私のメインプレゼンテーションの日、ある参加者が偶然、青と黄色の服を着ていました。
もちろん、彼女は何か象徴的なメッセージを込めて、その服を選んだわけではありません。それでも、私にとっては、とても温かい瞬間でした。
そして、私の発表が終わった後、海外から来た参加者の一人が突然、
「Слава Україні!(ウクライナに栄光あれ!)」
と声を上げました。
このような瞬間に出会うと、自分の物語は、もうずっと前から「自分だけの物語」ではなくなっていたのだと、強く感じます。
一つの大会を超えて
IPS 2026は、世界中から専門家が集まる場所で、ウクライナについて語る機会を私に与えてくれました。
私は日本での自分の経験について話し、プラネタリウム番組を担当し、バーチャルハルキウプラネタリウムを紹介し、そして世界各国の仲間たちと、さまざまな言語で星空について語りました。
けれど、私の心に最も強く残ったのは、「つながっている」という感覚でした。
私たちは、異なる国で働き、異なる技術を使い、それぞれの文化や伝統を持ち、異なる言語を話しています。
それでも、星空のドームの下では、私たちはみんな同じ方向を見上げています。
だからこそ、私にとって「One Earth, One Sky」という言葉は、単なる大会のテーマではありませんでした。
それは、プラネタリウムが存在する意味を、とても正確に表しているように思います。
プラネタリウムは、人々に遠い銀河や惑星、星座を見せるだけの場所ではありません。
私たちがどこで生まれ、どの言葉を話しているとしても、私たちには一つの地球があり、その上には一つの空が広がっている。
そのことを思い出させてくれる場所でもあるのだと思います。













